--小説--

  ◆ 薄めるような---(400字詰め原稿用紙 4枚 程度)
人生が道だというなら、男の道は今、崖の際に差し掛かっていた。
ハンドルを誤れば、暗い谷底が待っている。
雑草も無く、温かみもない、終わりしかない、その道のほんの少し手前。

(現代/酒場/侘しさ)
 ◆ 間引き---(400字詰め原稿用紙 24枚 程度)
しかし、それはテレビやラジオの前でニュースを見聞きしていた誰かの気を確かにひいたものの、
誰の心に残ることもなく、世の中の1つの出来事として、流れて行った。

(現代/若者/田舎)
 ◆ 夢の温室---(400字詰め原稿用紙 16枚 程度)
君は、あの温室を知っているだろうか。
この街のどこかにあるはずだが、もう私は覚えていない。
ねぇ、君がもしこの温室に心当たりがあり、それを見つけられたなら――

(灰色/花/嘲笑/手記)
 ◆ 硝子の婚姻---(400字詰め原稿用紙 29枚 程度)
- それはまだ、人形に命がある頃のお話でした -
古い道、それは、胎児の見た夢。
しわがれた手が花嫁人形の命を取り上げるまでの、ささやかな夢。

(明治大正/浪漫/人形/語り手)
 ◆ 「ゆいちゃん帰っておいで」 ---(400字詰め原稿用紙 17枚 程度)
ゆいちゃん、ゆいちゃん帰っておいで。
ゆいちゃん、そっちは違うよ。
ゆいちゃん、ゆっくり戻っておいで。ネズミの鼻を潰したことは謝らなくていいよ。

(幻想/少女/童話)
 
◆ トンネルの向こうへ ---(400字詰め原稿用紙 23枚 程度)
僕は汗ばんだ手で、自転車のハンドルを握りなおした。
赤い夕陽が沈んで夜を連れてくるまで、僕はその巨大な穴を見つめ続けた。
彼女は、行ってしまった。


(廃墟/喫茶店/透明感/”僕視点”)


◆ 人魚の髪 ---(400字詰め原稿用紙 138枚 程度)
光溢れる街に憧れる人魚の子の髪を切り取り、脚を作り、人の子にして妾にした男。
じゅくじゅく生えた白い足で立ち、人魚の子は初めて自分の選択をする。
くじ引きで選んだ4つのキーワードを元に書きました。
キーワードは、 「人魚」「女だった」「飲み屋でむしゃくしゃして」「山に登った」 の4つ。

◆ 優劣 ---(400字詰め原稿用紙 26枚 程度)
人間は時に、演説者にも獣にもなる。平日の図書館にて、それを思い知る…。
くじ引きで選んだ4つのキーワードを元に書きました。
キーワードは、 「優劣」 「暗い部屋」 「図書館に行き」 「休日をつぶされた」 の4つ。

◆ 銀色の悪魔 ---(400字詰め原稿用紙 35枚 程度)
毎日同じ夢を見る。少女が現れ、「悪魔は誰?」と尋ねる夢。その答えを、“私”は…。
くじ引きで選んだ4つのキーワードを元に書きました。
キーワードは、 「包丁」 「悪魔」 「広く知らせたくなって」 「そこに居たのは小さな女の子。」 の4つ。

◆ 雪中の者たち ---(400字詰め原稿用紙 35枚 程度)
外は大雪。静かな喫茶店の中で、後ろめたい過去のお話。
異常な者に登場した画家も出てくるお話。


◆ 異常な者 ---(400字詰め原稿用紙 37枚 程度)
かつての天才画家と、彼に魅入る青年。
黄土色の影の無い世界で展開する異常な人の話。

◆ 奇妙な者 ---(400字詰め原稿用紙 22枚 程度)
世の中、奇妙はつきないものです。
その中でもとびきり奇妙な、私の友人の話をしましょう。

◆ 書庫に潜む ---(400字詰め原稿用紙 3枚 程度)
ノンフィクションな徒然文。
「1200文字以内で日常を書く」という制限をかけ、短く纏めました。


◆ 廻る蝉 そして金魚蜂(改訂版) ---(400字詰め原稿用紙 56枚 程度)
いわゆるver.2 妹と雨之宮の過去シーンを追加。
他、台詞回しなども微妙に変わっていますが、結末等に変化はありません。


 廻る蝉 そして金魚鉢 ---(400字詰め原稿用紙 39枚 程度)
蝉も夏も巨人も何もかも、めまぐるしく廻る。
それを教えてくれた友達に別れを告げる話。




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